家族信託をご検討されてる人は、しっかりメリット・デメリットを知った上でご利用されることをおすすめです。
ここでは具体的なメリットとデメリットをご紹介させていただきます。
メリットを知るだけでは、あとで後悔してしまう可能性もありますので、是非デメリットまでお読みくださいね。
家族信託のメリットとは?
家族信託をすることのメリットは大きく分けて4点あると言えます。
それぞれを詳しくご紹介します。
資産凍結から守れる
例えば、認知症などにより本人の判断能力が低下・喪失した場合、通常であれば資産を凍結されてしまいます。
しかし、家族信託は生前から受託者による管理ができるため、資産凍結されることなく財産の管理や処分を行うことができます。
家族信託を組む具体的な例としては例えば、老親が老人ホームや病院での生活をするようになったときに、空き家となった家を受託者となった人が適切な価格で売却することができます。
生前から成年後見人制度の代用として使える
成年後見人制度には、負担や制約が多いです。
例えば、定期的に家庭裁判所へ報告義務を課せられる他に、成年後見人ができるのは家族ではなく本人にとってメリットがあることという制約や、後見監督人への報酬が月に1〜2万円など、家族信託をする場合と比べてデメリットが目立ちます。
しかし、家族信託の場合は本人が健全なうちに希望や方針などをあらかじめ設定しておくことができます。
信託契約書に記載しておくことで、その希望や方針に反しない限りで受託者が柔軟に財産管理をすることができます。
例えば、成年後見制度では許されていない相続税対策をすることも可能です。
倒産隔離機能がある
「破綻回避」や「破産回避」とも呼ばれている制度です。何らかの理由で委託した人が破産した場合、破産者の財産は差し押さえの対象となります。
しかし、信託財産としてあった財産については、受託者に属するため、差し押さえ対象になりません。
反対に、受託者が破産した場合には、「受託者に属する」と言われているため差し押さえ対象となりそうだと思う人も多いはずです。
しかし、信託財産は受託者の固有の財産からは隔離されているため、「独立した財産」として扱われます。
よって、受託者が破産した場合にも信託財産は取り押さえられません。
どちらの破産からも守ることができるのが、倒産隔離機能と言えます。
高額の費用がかからない
信託をするために銀行に受託者になってもらうことが一般的です。
しかし、その場合は高額な費用がかかってしまいます。
一方で受託者を家族とする場合、多くの場合に銀行に受託者となってもらうよりも費用がかかりません。
たとえ手数料を支払うとしても、銀行に依頼をするよりも費用を抑えることは可能だと言えます。
家族信託のデメリットとは?
上記でご紹介した通り、家族信託にはメリットが多いです。
しかし、メリットばかりではありません。
しっかりとデメリット部分もおさえておくようにしましょう。
遺留分についての問題
信託の問題と言えば、もっとももめやすいのが「遺留分」についてです。
遺留分とは、亡くなった被相続人の財産から法律上取得することができると保障されている最低限の取り分のことです。
遺留分は法定相続人に認められている遺言書によっても侵害することはできません。
しかし、信託によってそれが侵害されてしまう場合があります。
侵害された法定相続人からは、「遺留分侵害額請求」をされる場合があります。
この場合、家族間での争いになることがほとんどです。
遺留分を配慮した信託の内容になっているかどうかを事前に確認しておく必要があります。
家族信託に関する専門家自体が少ない
注目されている制度とは言え、家族信託に関する専門家はまだ不足しています。
とは言え、誰に相談することもなくインターネットで集めた情報をつなぎ合わせて家族信託をしようとする場合は、漏れや違反などリスクが大きいです。
家族信託とは最先端の方法であるため、中途半端な知識を持っている弁護士や税理士、司法書士に依頼をするのも危ないです。
税務申請の手間が増える
信託財産として資産の1部や全部を割り当てた場合、その中から年間3万円以上の収入ができたとき、「信託計算書」や「信託計算書合計表」を税務署に提出しなくてはいけないという義務があります。
毎年の確定申告の際には、信託財産の中に不動産所得が出ている場合にも、「信託財産に関する明細書」や「不動産所得用の明細書」を作成して提出する必要があります。
税理士に依頼をしている人の場合は負担は変わらないと言えますが、自分で税関係を管理している人に取っては手間が増えると言えます。
成年後見制度でなくてはいけない部分がある
信託では成年後見制度でなくてはカバーできない「身上監護」の問題があります。
信託の受託者は、成年後見人とは違い、本人の施設入所手続きや入院の手続きをすることはできません。
実際には「子と親」や「家族」という立場であれば、入所や入院の手続きをすることは可能な場合もあるので、受託者が身上監護の役割を担うことは可能であると言えます。
しかし、正式に身上監護権が必要なのであれば、成年後見制度を利用して後見人として「身上監護権」を行使しなくてはいけない場合があります。
家族信託のメリットとデメリットまとめ
家族信託のメリットとデメリットについてご紹介させていただきました。
メリットだけではなく、デメリットも知った上で進めていくようにいたしましょう。
当事務所は家族信託のスペシャリストです。
オンラインの相談も可能ですので、是非お気軽にお問い合わせ下さい。